神奈川県横須賀市でタクシー運転手、高橋正昭さん(61)=東京都品川区=が刺殺された事件で、県警は3日、米海軍に拘束されていたイージス巡洋艦「カウペンス」乗組員でナイジェリア国籍の1等水兵、オラットゥンボウスン・ウグボグ容疑者(22)を強盗殺人容疑で逮捕した。タクシー内にあったウグボグ容疑者のクレジットカードが使用できない状態だったことから、県警は料金支払いを巡るトラブルになった可能性もあるとみて、動機の解明を進める。
調べでは、ウグボグ容疑者は3月19日午後9時20分ごろ、横須賀市汐入町2の路上に停車中のタクシー内で、高橋さんの左肩を文化包丁(刃渡り約20センチ)で突き刺して殺害し、乗車料金1万9560円を支払わなかった疑い。同日午後7時半ごろに東京・品川駅周辺で乗車していた。調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めたという。一方、3日夜、約2時間にわたり接見した村上康聡弁護士によると、ウグボグ容疑者は「殺すつもりはなかった。タクシー料金を踏み倒すつもりはなかった」と犯意を否定しているという。村上弁護士は米海軍から依頼を受けた弁護人。容疑者は米国内に家族がおり、英語は堪能だという。
県警は当初、殺人容疑で捜査したが、乗車料金が不払いだったことから3日、強盗殺人容疑で逮捕状を取った。午後の日米合同委員会で米側が「起訴前の身柄引き渡し」に同意し、ウグボグ容疑者は拘束されていた米海軍横須賀基地から横須賀署へ身柄を移された後に逮捕された。
車内に残されていたウグボグ容疑者名義のカードと凶器の包丁以外に物的証拠が乏しく、有力な目撃情報もないため捜査は難航した。だが、品川駅周辺と現場近くの飲食店街でウグボグ容疑者に酷似した男が防犯カメラに映っていたことなどに加え、2日に基地内で実施した県警の事情聴取で殺害を認めたため逮捕に踏み切った。
日米地位協定の運用改善合意に基づく起訴前の身柄引き渡しは5件目。
【ことば】起訴前の身柄引き渡し 容疑者となった米兵の身柄を日本側に引き渡す時期について、日米地位協定は原則として「起訴後」と定めている。ただし、日米合同委員会で日本側の要請に米側が同意すれば、「起訴前」でも引き渡される。95年、沖縄で少女が米兵3人に暴行された事件をきっかけとして、殺人などの凶悪犯罪に限り、米側が「好意的配慮」を払うとの運用改善で合意した(04年に全犯罪へ拡大)。日本側の要請はこれまでに5件あり、沖縄県具志川市(現うるま市)で起きた強姦(ごうかん)未遂事件を除く4件で引き渡しが実現した。
4月4日0時45分infoseekニュースより
2008年04月04日
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